マルホランド・ドライブ


単純にプレイロールを映画の途中で変更されては困惑するというものだが、映像の運び方が上手なので一定のはまり方はしてしまう。
で、ある程度リンチ寄りの「え?役、変えてまうの?」というような解釈をしてしまうのだが、終わってみればそんな贔屓目な観方も要らなかったなぁ、と。

ただ視聴者に失礼だと感じる演出は多い。

途中まではしっかりと物事の偶然性と関係においての変化をしっかり捉えていたのに、パンドラの箱(なんかどうかは知らないが)オープン後はそのあたりの辻褄あわせは非常に不親切。 と、いうか合わせてない。

不親切さを言い出したら止まらないとはいえ、前半はあながちそこまで不親切ではなかった。
パンドラの箱後、ロール(役割)を変えていくのであれば、そこは誰しもが注目する部分だと思うのでそこを「人生、そんなもんですやん?」的放り投げは如何かと思う。

狂気や夢を表現させるのがカメラや照明や編集における技術で非常に上手いだけに、そこに最低限の意味は欲しいし、それがないとなれば、馬鹿な観客はみんなナンセンスと捉えるという評価を下されても仕方がないだろう。 わからないヤツは馬鹿だ、わかるヤツは賢いといった更にナンセンスな世界がこの映画評を通して展開されてしまう。そんなことまで狙ってるのであれば、リンチの性格が悪い。まぁ名前が「リンチ」言うぐらいだから、おおかた悪いに越したことはないけどね。

と、ここまで書いて気がついたのはこの作品がカンヌの監督賞を撮ったということだ。
それってどうよ?
難解な映画を読み取った者がカンヌ的映画の理解者ということ?
だとすれば、この映画以上にカンヌを批判したいなぁ。

自らがこだわったであろう、細部のカメラワークや音楽、音の挿入は素晴らしい。
キューブリックっぽいシーンも何箇所かあった。要るかぁ?いうと、微妙なシーンだ。そういわれてみれば、シンセサイザーの使い方も「時計じかけのオレンジ」っぽい。
また演者は特に主演女優二人ともが異彩を放っていた。エロティシズムをオレが語るなよ、ということではあるが、そういう部分で引っ張り込まれることも確か。
「エロイなぁ」いう下品な感じではないんですよ。まぁ説明すればするほどうそ臭いけど。

はっきり言える事は、ストーリーは絶対的に消化不良ではある。
ただそれほど不満足でもない。


不条理を芸術的に撮りたいなぁ、ってことが主眼であれば、まぁいい線行ってるとは思う。

65点